なぜ八重洲無線(YAESU)は世界で愛され続けるのか?名機とともに振り返るヤエスの歴史

こんにちは。アマチュア無線機買取専門店「長戸無線」の長尾です。

これまでのコラムでは、KENWOOD(TRIO)やICOM(アイコム)といった国産メーカーの歴史や魅力についてご紹介してきました。今回取り上げるのは、この二社と並んで日本のアマチュア無線を語るうえで絶対に外せないメーカー――「八重洲無線(YAESU)」です。

査定にお伺いすると、「若い頃、無理して買った一台目がヤエスだった」「あの音でDXを追いかけたなあ」と、目を細めながら話してくださる方が本当に多いんです。ケンウッドやアイコムに比べると少し硬派で、機械そのものに惚れ込んでいる方が多い印象があります。八重洲の無線機には、そういう人を夢中にさせる不思議な魅力があるんですね。

今回は、そんな八重洲無線がどんな歩みをたどってきたのか、そしてなぜ今も世界中の無線家に愛されているのかを、代表的な名機とともに振り返っていきたいと思います。


八重洲無線ってどんなメーカー?

八重洲無線のはじまりは、一人のアマチュア無線家の情熱でした。

創業者の長谷川斉(コールサインJA1MP)さんは、海外の技術記事に刺激を受けてSSBトランシーバーを自作していた根っからの無線好き。その延長線上で、1956年に会社を立ち上げたのが原点です。設立当初は「ゼネラルテレビサービス」という社名でしたが、1958年から短波帯のSSB無線機の製造・販売を本格的にスタートさせています。

メーカーとして最初から徹底していたのが「海外を見据えたものづくり」でした。1962年にはオーストラリア、1963年にはヨーロッパ各国へと、早くから輸出に力を入れていたんですね。国内よりむしろ海外で名前が知られていった、という珍しいメーカーでもあります。

社名の「八重洲」は、東京駅の八重洲口でおなじみのあの地名から来ています。1964年に本社を八重洲へ移したことをきっかけに社名を八重洲無線へ改め、「YAESU」ブランドの使用を始めました。この読みにくくもカッコいい響きが、そのまま世界のハムに通じるブランド名になったわけです。

その後、一時は「バーテックススタンダード」という社名の時代もありましたが、2012年に再び「八重洲無線」へ。現在は米モトローラ系のグループに属し、本社を東京都品川区に構えて、アマチュア無線機から業務用・船舶用・航空無線まで幅広く手がけています。


世界を席巻した名機「FT-101」

八重洲の歴史を語るなら、この一台を避けて通ることはできません。1970年に登場したHFトランシーバー「FT-101」、通称"ワンノーワン"です。

FT-101は、力強い真空管の送信段と、安定したトランジスタ回路を組み合わせた「ハイブリッド構成」を採用したモデルでした。当時としては大卒初任給の何倍もするような高価な機械でしたが、それでも高い性能と扱いやすさが評判を呼び、日本だけでなく世界中で爆発的に売れました。まさに八重洲の名を世界に轟かせた一台です。

発売から半世紀以上が経った今でも、「初めての本格機がワンノーワンだった」「あの受信音が忘れられない」と語る方は少なくありません。世代を追うごとにB型、E型と改良が重ねられ、それぞれに熱心なファンがいるのも面白いところ。査定でFT-101をお預かりすると、長く可愛がられてきた個体ほど、旋盤で削り出したようなダイヤルの手触りに愛情がにじんでいて、思わず見入ってしまいます。


八重洲無線が愛され続ける理由

数あるメーカーの中でも、八重洲がこれほど根強い支持を集めているのには、いくつかの理由があります。

骨太で壊れにくい

八重洲の機械は、良い意味で"武骨"です。作りがしっかりしていて頑丈、という声を本当によく耳にします。実際、発売から30年、40年経った機種が現役で使われていることも珍しくありません。部品交換や整備をしながら大切に使い続けられているのは、ベースの造りが堅牢だからこそだと思います。

攻めた機械づくり

八重洲には「新しいこと・面白いことに挑戦するメーカー」というイメージがあります。フラッグシップ機に惜しみなく最新技術を詰め込む一方で、他社が作らないような尖ったモデルを世に送り出してきました。この"やんちゃさ"に惚れ込むファンが多いのも、八重洲らしさと言えるでしょう。

小型・ポータブル機の名手

八重洲は、持ち運べる無線機づくりが本当に上手なメーカーです。手のひらサイズのボディにHFからUHFまで詰め込んだような機種は、登山やアウトドアで無線を楽しむ層から絶大な人気を誇りました。「小さいのに妥協しない」という一貫した姿勢が支持されています。

海外での圧倒的な人気

もともと輸出主体で育ったメーカーだけあって、八重洲は海外での知名度が抜群です。国内では古く感じる機種でも、海外には熱心に探しているコレクターがいることが多く、中古市場でしっかり価値が評価されるケースが少なくありません。


今も人気の八重洲名機

八重洲には数え切れないほどの人気モデルがありますが、その中でも特に評価の高い機種をいくつかご紹介します。

FT-101 八重洲を世界的メーカーへ押し上げた、言わずと知れた歴史的名機です。

FTDX・FT-1000シリーズ 八重洲の最上位を担ってきたフラッグシップ機。優れた受信性能で、DXを本気で追う無線家に愛用されてきました。

FT-817 / FT-818 手のひらサイズにHF〜UHFのオールモードを詰め込んだ、小型ポータブル機の傑作。今も探している方が多い、根強い人気機種です。

FT-857 / FT-897 HFから430MHzまでをカバーするオールバンド・オールモード機。移動運用の相棒として長く愛されました。

FTDX10 / FTDX101シリーズ 最新のSDR技術を投入した現行世代の実力機。高性能HF機として今なお高い評価を受けています。

このほか、ハンディ機やモービル機にも人気モデルが多く、状態や付属品によっては思いのほか良い査定になることもあります。


古い八重洲でも買取できる?

「もう何十年も前の機械だから、値段なんてつかないだろう」――そう思っていらっしゃる方はとても多いです。でも実際には、製造からかなり経ったモデルでもご相談をいただくことが少なくありません。

たとえば、

  • 電源が入るかどうか分からない
  • 長年しまいっぱなしで動作確認ができない
  • マイクや電源コードが見当たらない
  • 説明書や元箱がない
  • キズや汚れがある

こういった状態でも、査定できる場合があります。

八重洲は特に、修理や整備を前提に探している方が多いメーカーです。人気機種や希少なモデルなら、多少の不具合があっても価値が認められることがあります。状態だけで価値が決まるわけではない、ということですね。処分してしまう前に、一度査定に出していただくと、思わぬ値がつくこともあります。


まとめ

八重洲無線は、一人の無線家の情熱から生まれ、早くから世界へ打って出て、"ワンノーワン"をはじめとする数々の名機とともに歩んできたメーカーです。骨太で壊れにくい造り、攻めた機械づくり、そして世界中に広がるファン――そのどれもが、八重洲というブランドの魅力を今に伝えています。

昔夢中になって使っていた八重洲の一台が、押し入れや無線部屋で静かに眠っている、という方もいらっしゃるかもしれません。現役で人気のモデルは今もたくさんありますし、思いがけない査定額になることも珍しくありません。

長戸無線では、八重洲(YAESU)をはじめ、ICOM、KENWOODなど各メーカーのアマチュア無線機を幅広く査定しております。古い機種でも、動作が分からないものでも、どうぞお気軽にご相談ください。

大切にされてきた一台を、次の愛好家の手へ。そのお手伝いを、私たちにさせていただければ幸いです。

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