真空管式アンティーク無線機の魅力|灯りのともるリグが今も愛される理由

日々いろいろな無線機を査定していますが、真空管式の古いリグが持ち込まれると、正直なところ少し手が止まります。スイッチを入れて、数十秒待って、ケースの隙間からオレンジ色の灯りがぼんやり見えてくる。あの間は、いまの無線機にはないものです。
今回は、真空管式のアンティーク無線機がなぜ今も人気なのか、代表的な機種を挙げながら書いてみます。ご実家の物置や納戸に古い無線機が眠っているという方にも、参考にしていただければと思います。
「真空管式」と「ハイブリッド」の違い
まず整理しておきたいのが、ひと口に真空管式といっても中身は一枚岩ではない、という点です。
1950〜60年代の機材は、受信部から送信部まで文字どおりオール真空管でした。ところが1970年前後になると、半導体が実用域に入ってきます。八重洲無線が1970年5月に発売した「FT-101」は、ドライバー段と終段(6JS6C×2)を除いてトランジスタ化された構成でした。こうした「終段だけ真空管」の設計を、一般にハイブリッド機と呼びます。
大電力を扱う終段だけが最後まで真空管で残ったのは、当時の半導体では耐電圧や耐久性の面で追いつかなかったからです。この過渡期の設計思想が、そのまま機材の個性になっているところが面白いところだと思います。
アンティーク無線機の魅力
1. 回路が「見える」こと
シャーシを開けると、抵抗もコンデンサもコイルも、すべて肉眼で追えます。信号がどう流れているかを指でたどれる。現代機のように表面実装部品がびっしり並んだ基板とは、まったく別の世界です。
この「見えること」は、そのまま修理できることにつながります。真空管そのものが差し替え式ですし、劣化しやすい電解コンデンサや抵抗も、部品さえ手に入れば交換できます。半世紀前の機械が今も現役でいられる最大の理由がここにあります。
2. 操作そのものが楽しい
プリセレクターを回して同調点を探し、ファイナルのプレート同調とロードを取り、メーターの針がストンと落ちるところを見つける。真空管機の送信は、この一連の操作を毎回自分の手でやります。
面倒といえば面倒ですが、この手間が「無線機を操っている」という実感を生みます。ボタンひとつで完結しないからこそ手放せない、という方は少なくありません。
3. 当時としては相当な高級品だった
FT-101の発売時価格は118,000円。1970年の大卒初任給がおよそ41,000円だった時代です。初任給の3か月分近い買い物だったわけで、当時の若いハムにとってはまさに憧れの機械でした。1975年発売のFT-101Eになると176,000円まで上がっています。
4. 需要が国内だけではないこと
真空管機を探しているのは、日本のハムだけではありません。コリンズをはじめとする米国製はもちろん、トリオや八重洲の当時のモデルも海外のコレクターに知られており、状態の良いものには国境を越えた引き合いがあります。当店が海外ルートを持っているのも、この需要があるからです。国内だけで完結する相場ではない、という点は、査定額を考えるうえで大きな意味を持ちます。
代表的な名機
TRIO(現JVCケンウッド)9R-59/TX-88A
受信機9R-59と送信機TX-88Aのペアは、日本のアマチュア無線を支えた定番中の定番です。9R-59は高周波1段増幅・中間周波2段増幅のいわゆる「高一中二」、TX-88Aは終段に807を1本という構成。完成品とキットの両方が売られていました。のちの9R-59DではMT管構成にメカニカルフィルターを搭載し、SSB時代への対応を図っています。
八重洲無線 FT-101シリーズ
3.5〜28MHz帯(後に1.9MHz帯を追加)のSSB/CW/AM機。FT-101、FT-101B、FT-101Eと世代を重ね、1978年ごろまで作られ続けたロングセラーです。国内外で爆発的に売れ、"ワンノーワン"の愛称で今も通じます。同時代のライバルだったトリオTS-520シリーズと合わせて、中古市場での人気は根強いものがあります。
COLLINS(コリンズ)KWM-2/KWM-2A、Sライン
アメリカ・コリンズ社のHFトランシーバー。終段は6146B×2で出力100W級、CW/SSBに対応します。75S/32Sで構成されるSラインとともに、真空管時代の最高峰として別格の扱いを受けてきました。当店でも問い合わせの多いブランドです。
八重洲無線 FL-2000B などのリニアアンプ
送信管572B×2を使ったオール真空管のリニアアンプ。周辺機器にも名機と呼ばれるものが多く、本体とセットで揃っていると価値が上がります。
保管と取り扱いで気をつけたいこと
長期間眠っていた真空管機に、いきなりAC100Vを入れるのはおすすめしません。電解コンデンサが劣化していると、通電した瞬間に故障や発煙につながることがあります。
査定に出すご予定であれば、無理に動作確認をせず、そのままの状態でお持ちいただくのが安全です。動かないから価値がない、ということはありません。真空管、トランス、バリコン、ダイヤル機構など、部品単位で需要のあるものが多くあります。
アマチュア無線機の買取を強化しています
長戸無線では現在、アマチュア無線機の買取を強化中です。真空管式のアンティーク機はもちろん、現行機、リニアアンプ、電源、アンテナ、測定器、マイク、電鍵、古いカタログやマニュアル類までまとめてお引き受けします。
買取方法は、宅配買取・出張買取・店頭買取からお選びいただけます。
- 宅配買取:ご住所を伺って梱包キットをお送りする方法と、ご自身で梱包して着払いで発送いただく方法の2通り。査定料・キャンセル料・返送費用はすべて無料で、全国から承っています。
- 出張買取:シャックまるごと、ラックごとといった大量のご整理に向いています。関東圏を中心にお伺いし、東京都内は日程が空いていれば即日対応できる場合もあります。真空管機は重量物が多いので、運び出しはお任せください。
- 店頭買取:東京都杉並区今川1-10-18 井口ビル101。
お問い合わせは電話(0120-993-295/03-5657-7182)、公式LINE(@779ugwft)、メール(info@nagatomusen.com)まで。ラックの写真を1枚お送りいただくだけでも、おおよその目安をお伝えできます。
型番が消えかけていても、こちらで判別できることがほとんどです。処分される前に、一度ご相談ください。
長戸無線 長尾

