Collins(コリンズ)の歴史|「Sライン」が今も無線家の憧れであり続ける理由

こんにちは。アマチュア無線機買取専門店「長戸無線」の長尾です。

これまでのコラムでは、ICOM、KENWOOD(TRIO)、八重洲無線(YAESU)と、国内メーカーの歴史をたどってきました。今回は海の向こうに目を向けて、アメリカのCollins(コリンズ)を取り上げます。

先日、当店でCollinsの送信機「32S-3A」をお買取りしました。グレーのパネルに大きなダイヤル、ずっしりとした重さ。昔から無線をされている方にとって、Collinsは特別な名前です。「いつかはコリンズ」と話す先輩の姿を覚えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

では、なぜ半世紀以上前の無線機が、今も憧れの的であり続けるのか。その理由を歴史からひもといてみます。

15歳の少年が北極と交信した日

Collinsの物語は、創業者アーサー・コリンズの少年時代から始まります。

アーサーは1909年にアメリカ・オクラホマ州で生まれ、幼いころにアイオワ州シーダーラピッズへ移り住みました。早くから無線に夢中になり、10代でアマチュア無線の免許を取得しています。

1925年、15歳だったアーサーは、自作の無線設備でグリーンランドにいたマクミラン北極探検隊の船と短波で交信しました。当時、アメリカ国内でこの交信を受けられたのは彼だけだったといわれています。一人の少年がこの出来事で全米に名を知られることになりました。

地下室の工房から、世界的な通信機メーカーへ

アーサーは1931年ごろから自宅の地下室で送信機を作り始め、1933年にCollins Radio Company(コリンズ・ラジオ)を設立します。

同じ1933年、南極へ向かうバード少将の探検隊が、Collinsの無線機を採用しました。バード少将はかつてマクミラン探検隊に加わっており、そのとき通信に苦労した経験がありました。過酷な南極で確実に使える通信機として、若いアーサーの技術に賭けたわけです。この成功で、Collinsの名は一気に広まりました。

その後Collinsは、第二次世界大戦中の軍用通信機、戦後の航空機用無線や航法機器へと事業を広げていきます。マーキュリー、ジェミニ、アポロといったアメリカの有人宇宙計画でも、宇宙飛行士と地上を結ぶ通信にCollinsの機器が使われました。

1973年にはロックウェル・インターナショナルの傘下に入り、「ロックウェル・コリンズ」となります。現在は航空宇宙分野の大企業「Collins Aerospace」として、その名が受け継がれています。

アマチュア無線機としてのCollins

これだけの大企業になっても、アーサー自身は無線家であり続けました。そのためCollinsは、アマチュア向けの機器にも力を注ぎます。

戦後まもない1946年に登場した受信機「75A」は、水晶で制御した局発と、PTO(透磁率同調型発振器)を組み合わせ、当時のアマチュア機では考えられなかった周波数の安定性を実現しました。この流れは75A-4受信機とKWS-1送信機の組み合わせへと発展し、その金色がかった外観から「ゴールドダスト・ツインズ」とも呼ばれました。

「Sライン」の登場

そして1958年、Collinsのアマチュア機を象徴するシリーズが登場します。受信機75S-1と送信機32S-1から始まった「Sライン」です。

Sラインは、受信機・送信機・電源・スピーカー付きのステーションコンソール・リニアアンプを、同じデザインでそろえられるシリーズでした。1959年にはトランシーバーのKWM-2、1960年にはリニアアンプ30S-1が加わり、20年以上にわたって作り続けられました。

32Sシリーズは32S-1から32S-2、32S-3、32S-3Aへと改良されていきます。当店でお買取りした32S-3Aは、32S-3に追加の水晶ボードを組み込んだモデルです。

Sラインが今も憧れであり続ける理由

性能が本物だった

PTOによる安定した周波数と正確なダイヤル読み取り、メカニカルフィルターによる切れのよい選択度。Sラインは、無線機に求められる基本性能を高い水準で満たしていました。業務用や軍用の機器を作ってきたメーカーならではの設計です。

並べたときの美しさ

Sラインは見た目にもこだわって作られました。アーサーは愛用のライカのカメラから着想を得て、フロントパネルに革のような質感の仕上げを求めたといわれています。シンプルなツマミの配置と、傾斜のついたキャビネット。75Sと32Sを並べ、真ん中にコンソールを置いたシャックは、多くの無線家が思い描いた理想の姿でした。

手元に置き、直しながら使える

真空管式のSラインは、部品を交換し、調整し直せば、今でも電波を出せる機械です。海外にも愛好家が多く、整備の情報も共有されています。ただ飾っておくだけでなく、実際に使い続けられることも、長く愛される理由のひとつです。

エンブレムの違いを楽しむ文化

Sラインのパネルには、翼の付いた「ウィングドエンブレム」と、丸い「ラウンドエンブレム」があります。1969年ごろにウィングドから丸型へ切り替わっていて、どちらのエンブレムかで製造時期のおおよその見当がつきます。エンブレムの違いにこだわるコレクターも少なくありません。

Collinsの無線機を手放すときに

ご家族が遺したCollinsの無線機や、しばらく電源を入れていないSラインをお持ちの方もいらっしゃると思います。査定では、主に次の点を拝見しています。

  • 機種名と型番(75S、32S、KWM-2など)
  • 動作するかどうか、外観やパネル、ツマミ、メーターの状態
  • エンブレムの種類
  • 受信機・送信機・電源・コンソールなど、セットでそろっているか
  • 取扱説明書やマイク、ケーブル類などの付属品

長く使っていない真空管式の機器は、いきなり電源を入れると内部の部品を傷めることがあります。動作が分からない場合は、無理に通電せず、そのままの状態でご相談ください。動かない機種や、欠品のある機種も査定の対象です。

Collinsの無線機の買取は長戸無線へ

長戸無線は、アマチュア無線機だけを扱う買取専門店です。海外にも販路があるため、国内では値がつきにくい古い機種も、価格に反映できる場合があります。お品物の量や状況に合わせて、3つの方法からお選びいただけます。

出張買取
ご自宅までうかがい、その場で査定します。東京・神奈川・千葉・埼玉を中心に全国対応です。重い送信機やリニアアンプ、シャックごとの整理にも向いています。

宅配買取
お手元の箱に梱包して、着払いでお送りいただけます。梱包用のキットをお送りすることも可能です。送料・査定料はかからず、ご納得いただけない場合も返送料はいただきません。

店頭買取
東京都杉並区今川1-10-18 井口ビル101(環八通り沿い、トヨタモビリティ東京 井荻店の隣)でもお受けしています。出張で不在のことが多いため、お越しの前に必ずお電話かLINEでご連絡ください。

いちばん手軽なのは、公式LINEで写真を送っていただく方法です。型番が読めなくても、シャック全体を写した1枚があれば、こちらで機種を調べてお返事します。LINEは24時間受け付けています。

  • 電話:0120-993-295/03-5657-7182(10:00〜22:00・年中無休)

まとめ

北極との交信に成功した少年が作った会社は、南極探検や宇宙開発を支える通信機メーカーになりました。その技術と美意識をアマチュア無線の世界に持ち込んだのがSラインです。

登場から60年以上がたった今も、Collinsの無線機は次の持ち主を待つ価値のある機械だと思います。大切にされてきたCollinsを手放すときは、ぜひ長戸無線にご相談ください。

アマチュア無線機買取専門店 長戸無線 長尾

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